セルフホストとマネージドサービス:コスト構造の比較と隠れた費用
要点
マネージドサービスの割高感は、運用人件費と可用性を含めた総保有コストで見ると逆転することがある。判断は隠れた費用をどれだけ可視化できるかで決まる。
月額料金だけでは見えないコスト
セルフホストの月額インフラ費用は、マネージドサービスの利用料と比較すると安く見えることが多い。しかし、主要クラウドサービスの公式料金ページに載っている数字は、あくまでインフラ費用であり、それを運用する人件費や障害対応の時間は含まれていない。マネージドサービス各社の公表資料も、料金体系がインフラ提供のみを対象としている旨を明記している。この価格は執筆時点のものであり、最新情報は各社の公式サイトを参照する必要がある。
運用人件費という最大の変数
セルフホストでは、OSのパッチ適用、バックアップの検証、障害時の一次対応をすべて自社で担う必要がある。小規模なチームでは、これらの作業に割く時間が本来の開発業務を圧迫し、機会費用として顕在化する。ただし、すでに運用体制が整っている組織であれば、この追加コストは限定的であり、セルフホストの費用優位性がそのまま活きる。SLA未達時の補償範囲も、マネージドサービスとセルフホストでは前提が異なり、単純な料金比較では見えない差になる。
TCOで判断するための視点
正しい判断のためには、インフラ費用に加えて、運用人件費、障害対応の期待値、スケール時の再設計コストを含めた総保有コストで比較する必要がある。モノレポ移行の判断と同様に、表面的な数字だけでなく、自社の運用体制という前提条件込みで評価すべき問題である。コンテナのレジストリ運用コストもこの選択によって変わってくる。
料金表の比較で終わらせず、自社の運用体制を前提に総保有コストを試算することが、後悔しないインフラ選定につながる。